お知らせ
ピコレーザー(シミ用レーザー)の治療効果と栴檀海斗による治療効果維持作用
当院でのPQX Nd-YAGレーザーでの症例も70例程度となりました。
色素班につきましては1回治療でのシミの改善と満足度は80%程度です。
ただ、中には、雀卵斑に類似した肝斑のケースもあり、治療により色素増強を来す場合も
認められることから、肝斑の可能性が否定できない淡い色素班や色味の異なる大小多彩な色素班が混在している症例につきましては、月に1回、合計3~5回程度のトーニング照射(表皮を傷めない照射法)を行い、肝斑の軽減、もしくは、肝斑ではないと評価した上でスポット照射を実施するようにしています。また、色素班が極めて疑わしいが、肝斑を含む可能性が否定できないケースでは、テスト照射を実施し、効果を確かめた上でスポット照射を実施しています。
大きく目立つ色素班に対する、
右頬部のPQX Nd-YAGによるスポット照射を実施した症例を供覧します。
<治療前(右頬部)>
Φ35mm円形、ほぼ均一に色素沈着像を示しています。
PQX Nd-YAG 532nm 3mmスポットにてレーザー照射を実施しました。
ダーモカメラではやや濃淡はあるものの、だいたい均一に色素沈着を認めます。
汗孔が細かな点状の脱色素柳雄域として認められます。
UV撮影ではほぼ真っ黒の所見ですが、色素の多さと血管拡張を含む
何らかの炎症後の不可逆性変化を示す所見です。
<治療3ヶ月後>
色素班の輪郭も目立たず患者様もとても満足して頂けました。
<治療前②(左目尻)>
同Φ10mm前後の円形色素班を認めます。
PQX Nd-YAG 532nm 3mmスポットにてレーザー照射を実施しました。
ダーモカメラではやや色差を認める部位もありますが、ほぼ均一な色素沈着像です。
UVカメラでは、色素が濃いところが比較的分かり易く確認できます。
<治療3ヶ月後>
ほぼ消失。「かさぶたが取れた直後はやや赤みがでるものの、その後の回復が早く安心出来ました」とのことでした。
<解説>
PQX Nd-YAGレーザーのスポット照射では、治療直後は照射範囲が白くなり(IWP)、2分程度で赤みに変化し、翌朝には黒くなります(かさぶた)。かさぶたは2週間程度で綺麗に剥がれ落ちます。スポット照射では表皮が剥がれるため、軽微ではあるものの炎症を起こします。この影響により治療1ヶ月程度では、赤み(PIE)や炎症後色素沈着(PIH)を起こします。多くの施設では、遮光やUVカット、ハイドロキノンクリーム、リン酸型ビタミンCの外用、ビタミンC、トラネキサム酸の内服を必須とし、シミの治療費に加えて色々なものを買わされてしまう訳ですが、当院では夏場であってもこれらの薬剤は9割の症例で未使用です(1割はビタミンC、トラネキサム酸内服)。治療直後から1日は、栴檀海斗(生体皮膜剤)のパックのみとし、翌朝からは1日2回程度塗布して頂くのみのケアで、炎症後色素沈着の顕著な増強もなく良好な治療結果を得ています。栴檀海斗は、分かり易く言えば細胞の絆創膏です。ただ、単なる絆創膏ではありません。細胞膜全体をコーティングし、傷ついた部位からのリン脂質の滲みを抑え(n-6系脂肪酸の遊離抑制)、炎症を低減保持する働きがあり、この働きが炎症後色素沈着の低減と治療3ヶ月程度での結果に貢献しています。栴檀海斗の炎症後色素沈着に対する効果は、本blog内のアーカイブス(「特許技術」 「生体皮膜剤」)をご参照下さい。尚、栴檀海斗による炎症後色素沈着やシミの再発抑制機能につきましては、次回、私自身の試験例でお見せします。ご期待くださいませ。
<暑い季節でのシミのレーザー治療後の注意点!>
水疱化(表皮内):この現象は、物理刺激を回避する目的でガーゼ保護やテーピングを行った際に起こり易い症状です。このような場合、もしくは、水疱化が強く想定される場合は、ステロイド系消炎薬の軟膏による二次的な外用治療を要します。できればステロイドは使用しないで治せた方が、治療後の赤み(PIE)や持続期間を短縮できます。シミのレーザー治療をお受けになられた際には、主に摩擦や外傷等の物理刺激や蒸れを極力0(ゼロ)で維持し、低温やけどをさせない程度の冷却(空冷、室温を下げる、タオルでくるんだ保冷剤など)をお願いいたします。
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