かゆみと湿疹
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痒み(かゆみ)を止め、湿疹化を防ぐ
湿疹の定義や種類、治療方法や〔掻くことで悪化する〕といった記述はありますが、なぜかゆみから湿疹になるのか?そこをわかりやすく解析した記述は存在しません。これは、これまでの医学や医療が、「疾患(病気)」ありきで発展してきたからではないかと思います。病気を治し社会復帰に貢献できることは大変意義のある事ですが、病気になってしまう前の予防概念があまりにも曖昧で、一般の方のみならずベテランの医師といえども病気を予防することなど困難と感じているからこそ、「2人に一人ががんになる!」などといった脅しじみた文言にドキドキしてしまうのではないかと感じています。ひとまず、「かゆみから湿疹化」、この一連の発症メカニズムと解決方法については、私が世界で初めて栴檀海斗の特許の取得により誰にでも分かりやすく理解できるよう解析、そして解決方法を見出しました。
とはいえ、栴檀海斗の技術により如何なる難治性疾患をも治せるなどとは考えておらず、当然、アトピー性皮膚炎の湿疹化を抑えることは不可能です。栴檀海斗が特殊な疾患の治療を目的としていないのは、すでに他に治療薬や治療方法が存在するためで、栴檀海斗とは、あくまでも病気を発症していない方が、かゆみを生じ、掻いて湿疹になり、悪化しないようにするためのツール。すなわち、【実現可能なかゆみの治療と湿疹化の予防策】とお考えいただけたら幸いです。
栴檀海斗は、もともと「かゆみさえ解決できれば掻かずに済み、酷くならないのに!」という患者様からの素朴な質問から、「湿疹を治しているだけではダメなのだな!」と気づき、開発をスタートさせました。先ず、最初に取り組んだのは
- かゆい部位とは具体的にどこか?
- かゆみが増すとは何がどういう状態になることか?
という2点の調査から開始しました。
かゆい部位とは?
先ずは、四季を通しての登山(5~20km)、ランニング(5~25km)、一般市街地のウォーキング(5~35km)を、Tシャツ短パンの状態から、発熱素材の下着や80~240デニール程度のレギンス・タイツの着用、靴下の2枚履き、重ね着、登山でのバラクラバ(ほっかむり)、ネックウォーマー、マフラー、他袋、帽子の着用など、分泌を促進させ、発汗・皮脂分泌過多という条件の下で、運動前にはなかった、或いは、さっきまでなかった急な痒みの出現部位を検出しました。先ず、痒みの無い皮膚面を肉眼とダーモスコピー(10倍)、並びに触診により、隆起、凹凸が存在しない状態を確認後、さっきまで痒みがなかった皮膚面に急に痒みが出現した部位を目視とダーモスコピー(10倍)で確認し、1~2mmの赤く隆起した丘疹の出現と、この丘疹の周囲に0.2~0.5mm程度の赤みの無い丘疹が無数に出現しているのを同手段により確認しました。10倍ダーモスコピーで急な痒みの出現部位を診ると、毛穴を含む紅色丘疹で、面白いことに毛穴が丘疹の頂点ではなく、毛穴は含んでいるもののその近傍を頂点とする丘疹であることを突き止めました。この所見により、急な痒みを起こした部位とは、毛包とその付属器(皮脂腺や立毛筋)で、炎症の起源は毛包そのものではなく、皮脂腺ではないかということに気づきました。
<答え> かゆい部位とは?=急性毛包付属器炎を発症した部位。
かゆみが増すとは?
特に痒みが増す条件を観察すると、滝のように汗をかいている時ではなく、運動して体が温まって体が動きやすく感じられる1時間後程度や、休憩して汗が乾いてくる時、衣類が肌と密着した部位、上記のような丘疹の出現部位に汗が流れ落ちる時や髪の毛が触る、もしくは衣類が触れるといった諸条件でした。
<答え> かゆみが増すとは?=分泌物の水分が蒸発し濃縮した場合と、すでに出現した丘疹に物質が触れる時。
一般的なかゆみを起こす【痒み物質】とは?
いわゆる痒み物質について、私は、多くの学者が汗や皮脂の成分分析をしていることを一切参考にせず、シンプルに「汗と皮脂の両方だ!」と感じたところから実験を開始しました。なぜならば、痒みを起こす丘疹とその周囲では汗も皮脂も同時に分泌されており必ず混じっているためで、汗の水分が抜けて濃縮した状態、すなわち、乳化物の産生が毛包付属器炎を惹起させるまでの過程を目視できたためです。つまり、あっという間に答えを得てしまいました。これを証明する手段として、制汗剤の全身塗布から実験を開始しました。制汗剤でもっとも強力なのは塩化アルミニウムです。医師が処方できる濃度は20%程度のもの。ですが、この塩化アルミニウムはpH(ペーハー=酸性度)1.9以下の酸性。
つまり胃酸のpH3.0前後と比べても圧倒的に酸性が強い曲者。全身に塗布するとビリビリ痛み、それでも全身塗布して運動してみましたが、制汗もできないばかりでなく、当然痒みも取れませんでした。濃度を落とせば解決かと思いきや、10%、5%、3%、1%と各濃度に調整しpHを上げていきましたが全く痒みは取れませんでした。化粧品に用いられているクロルヒドロキシアルミニウムでも試しましたがこれもダメでした。つまり制汗剤では痒みは取れないことが判りました。さて、皮脂を取り続けるというのが難しく、どうしたものかと考えていたところ、油を包摂するシクロデキストリンの存在を思い出し1~20%程度のシクロデキストリン水溶液(α型、ヒドロキシル化β型、γ型)の全身塗布でトライしてみました。「効き目があるようでいて効き目は無い!あれれ?どういうことだ?」と感じ、ここで乳化物を思い出しました。実際、特許申請でも審査官から、「シクロデキストリンの内径では乳化物を包摂できない!説明不足だ!」と一度は拒絶を受けましたので、これにより仕組みが明確化されました。塩化アルミニウムを実験に用いた利点と真相が明らかになりました。利点とは独特かつ中途半端で多孔質な撥水被膜を形成する点で、乳をザラメ状にし、凝固させない特有な条件を作り出すことが判明し、この現象にあてはめられた用語が【解乳】でした。被膜作用といえば、柿渋やコーヒーのクロロゲン酸、五倍子、藍、カカオなどのいわゆるポリフェノール、その類似物質である紅茶テアフラビンや緑茶カテキンですが、被膜作用、つまりかゆいところに蓋をすれば痒みがとまるか?と全身に塗布してみるや、そんな簡単ではなく痒みは取れていないことが判明し、同時に乳をバリバリに凝固させてしまい、これらの諸成分では【解乳】できないことも判明しました。痒み物質を汗と皮脂の乳化物とした時、塩化アルミニウムの解乳特異性と、シクロデキストリンの皮脂の包摂作用が水や粉末の条件で効果的に乳化物の痒みを抑制することが分かりました。
<答え> 痒み物質とは?=汗と皮脂の乳化物
塩化アルミニウムの真相
この成分に対する専門家の記述には事実と異なる点があります。20%を上限とした範囲内で制汗作用(汗の分泌そのものが減っている事実)は認められませんでした。また、全身に塗布したからといって体温が変化することもありませんでした。説明されている専門家の方々も、文献等の知識やイメージで語られているように感じられますが、全身各所に塗布されてみるとわかります。ただ、「制汗作用があるのでは?」と錯覚するトリックは、前述のような塩化アルミニウムの撥水被膜形成作用にあり、わかりやすく申しますと「速乾性」があります。汗が乾きやすく感じ取れることが、まるで汗の穴(汗孔)を塞いで分泌を抑制したかのように勘違いされたのでは?と思います。「汗の穴を塞ぐから制汗作用がある!」この説明は明らかに間違っています!
この成分に対する専門家の記述には事実と異なる点があります。20%を上限とした範囲内で制汗作用(汗の分泌そのものが減っている事実)は認められませんでした。また、全身に塗布したからといって体温が変化することもありませんでした。説明されている専門家の方々も、文献等の知識やイメージで語られているように感じられますが、全身各所に塗布されてみるとわかります。ただ、「制汗作用があるのでは?」と錯覚するトリックは、前述のような塩化アルミニウムの撥水被膜形成作用にあり、わかりやすく申しますと「速乾性」があります。汗が乾きやすく感じ取れることが、まるで汗の穴(汗孔)を塞いで分泌を抑制したかのように勘違いされたのでは?と思います。「汗の穴を塞ぐから制汗作用がある!」この説明は明らかに間違っています!
栴檀海斗の全身使用による痒みの一般的な評価試験(VAS)
VAS(visual analog scale)を用いて評価してみました。
VASは、10cmの線を引き、10cmの長さを最もかゆい状態とした時、栴檀海斗を3週間程度使用した時点で痒みがどの程度改善できたかを、実際に使用していただいた方に線引きしてもらい平均値で示した数字により効果を評価する試験方法です。実施件数は100件。結果は平均1.2cm(使用前の痒みを100%とした際の12%、つまり88%改善)という良好な効果が実証されました。
VAS(visual analog scale)を用いて評価してみました。
VASは、10cmの線を引き、10cmの長さを最もかゆい状態とした時、栴檀海斗を3週間程度使用した時点で痒みがどの程度改善できたかを、実際に使用していただいた方に線引きしてもらい平均値で示した数字により効果を評価する試験方法です。実施件数は100件。結果は平均1.2cm(使用前の痒みを100%とした際の12%、つまり88%改善)という良好な効果が実証されました。
かゆみから湿疹化の過程
エクリン汗腺やアポクリン汗腺から汗が出ただけでは痒みになりません。また、汗腺炎の初期や汗管腫は痒みを生じず、汗腺の上皮壊死と真皮への穿孔により膿瘍に至る過程は疼痛(いたみ)になり痒みになりません。従って汗孔(あせの出口)がかゆいということはなく、湿疹の起源にはなり得ません。一般的に人が汗をかいて痒いと感じておられるかゆみは、かゆみ物質(汗と皮脂の乳化物)が、毛穴の中の脂腺開口部に蓄積し、水分が蒸発して濃縮し刺激因子となり、バリアを持たない皮脂腺細胞膜に浸透し細胞膜がダメージを受けて傷ができ皮脂腺炎を起こし、続いて毛包付属器炎が惹起されます。かゆみは、これら一連の炎症増大過程を示す症状です。
毛包付属器炎が惹起されると、毛包付属器に張り巡らされた神経線維を経て周囲の神経受容器(マイスナー小体)が刺激され、電気的・化学的信号が脳に伝達され痒みがでると推察されました。脂腺炎優位の毛包付属器炎に対し、自然放置もしくは、揺さぶり刺激、摩擦刺激を加えると障害を受けた細胞膜の融解が促進され痒みではなく、痛痒さ、そして疼痛(いたみ刺激)に変化しその後膿化します。この痒みを通り越したそれ以降の過程を皮膚科学では毛包炎と呼んでいるようです。ただ、毛包炎が急激に悪化すると、他の生物に原因を求めてしまうようで、原因はマラセチアフルフル(真菌=カビ)である!といった診断や記載が目立ちますが、マラセチア毛包炎の診断はたいてい間違っており、抗真菌薬の使用で悪化し当院を訪れる患者様も数多くおられます。また、抗真菌薬でマラセチア毛包炎を治したとの記述内容を見てみると、数か月塗布し続けるという条件がついており、しかも治らない場合もあるとの記載も見つかります。数か月もありますと、自然に(かってに・運よく)治ったのか抗真菌薬が効いたのか?そこすら曖昧です。正直のところ、そこまでして患者一人の来院日数を伸ばしてお金稼ぎたいの?とすら感じてしまいます。真菌と細菌は共に生存競争を繰り返しています。細菌類の中でも絶えず骨肉の生存競争が繰り返されており、それらの菌類の繁殖の条件が良ければ一時的に増えて見え、培養検査に提出すると3+といった結果が得られるに過ぎません。カンジダという真菌は有名ですが、このカビも鼻腔内などでは常在しています。実験的に鼻粘膜からの培養検査を外注検査機関に提出し試験したことがあり、カンジダや酵母、黄色ブドウ球菌や肺炎桿菌、肺炎双球菌はちょくちょく検出されました。培養検査はたまたま病気の診断に用いられるため、「この菌が原因!」となりますが、適当かつ頻繁に検査すると、ざらに検出されるということはあまり説明されていないのではないでしょうか?最近は、コロナウイルスに効果が無いにもかかわらず、アルコール除菌が徹底されています。これをやり続けるとどうなるかと申しますと、アルコールで除菌できない菌種や場合により芽胞菌等の菌種を増加させる可能性があり、真菌は苦し紛れに酵母状になれる種族のみ勢力を増やします。除菌というと聞こえがよろしいのですが、極めて不自然なことをやっており、わけのわからない皮膚環境を作り出すことの弊害が恐ろしいし不自然と感じます。
話がだいぶ横道にそれましたが、要するに「毛包炎の原因とはかゆみですよ」ということで、かゆみの段階をクリアしておけば毛包炎化を防ぐことができ、余計な菌種を増やさずに済み、抗真菌薬など使用しなくて済むということが分かって頂けたら幸いです。さて、脂腺炎優位の毛包付属器炎が惹起されますと、丘疹となり痒みが増大してきます。この時、人が【掻く!】ということを医者は簡単に「掻くな!」と言いますが、どういうことかを分かっていて言っている医者はおそらくいないでしょう。これでは「搔いたあなたが悪いのだ!」と一方的な説明となってしまいます。売り言葉に買い言葉。「私だって掻きたくて掻いたわけじゃない!そう言っているあなたは掻いたことがないのか?」そう言いたくもなりますよね。
【掻く!】という手段は、実は【条件反射的な究極の治療行為】ということをご存じでしょうか?ちゃんと理由があります。実はもう答えは前述に回答済です。かゆみ部位は、脂腺炎優位の毛包付属器炎が惹起された毛穴を含むその近傍が赤く隆起した丘疹と説明しましたが、その発祥の地はどこでしたでしょうか?皮脂腺開口部と皮脂腺でしたよね。ここの炎症が止まらないことには痒みが止まりません。体験的なものなのか、それとも本能なのか。【掻く!】という行為はなんとも神秘的で、何の知識もなくても動物も人もみんなできます。そうです。炎症を起こした皮脂腺をぶっ壊せば痒みが止まることが分かっているから掻くのです。分かりやすく掻く方は、爪の先で上手に脂腺炎優位の毛包付属器炎が惹起された丘疹の頭ではなく、真皮内から皮脂腺をもぎ取るようにバツン!と穴を掘っています。分かりやすいですよね。ただ、結果どうなるかと申しますと、傷跡だらけになってしまうのですよ。ですから【掻く!】という手段は、実は【究極の治療を施した!】ということでご納得いただけましたでしょうか。【中途半端のろくでなし】という言葉がございます。【ろくでなしは】は不要な言葉ですが、【中途半端に掻く】という場合があります。脂腺炎優位の毛包付属器炎が惹起された毛穴を含むその近傍が赤く隆起した丘疹の存在を「どこかわからないけれど痒いな!」と曖昧に思い込んでいたとします。当たらずしも遠からずで、丘疹部位のみならず周辺を擦るように掻いたらどうなりますか?この結果を正確に想定するには、「丘疹周辺が全くの健常な表皮であるはずがない!」と想定できていないと間違います。前述の通り、痒みの強い丘疹周辺は健常ではなく、粒々・ザラザラとした無症状な予備軍的かつ微細な脂腺炎、或いは毛包付属器炎という微細丘疹が無数に存在していました。この微細丘疹群は、炭酸ガスレーザーで穿孔すると滲出し水疱状であることが分かっています。水疱は炎症性のため当然顕微鏡的な出血やフィブリンなどの凝固産物並びにタンパク分解酵素やリン脂質分解酵素を含みます。つまり、痒みのある丘疹の周辺皮膚は一見健康に見えるだけで、すでに全体が脆くなっており、丘疹部位のみならず、中途半端に指の腹で擦ると水疱をすり潰す特殊なダメージを与えることになります。
この結果としてできるのが、紅斑というカサカサとした赤い皮疹です。丘疹部位を衣類の上から擦り掻きした場合も同様に紅斑となります。丘疹も紅斑も毛包付属器を主とした表皮と真皮の独特な炎症パターンで、当然真皮層も痛んでいます。これは、もともとの炎症の発端が痒みであり、痒みの根源が表皮と真皮に連結する毛包付属器、特に皮脂腺にあるためと思われます。なぜなら、真に健常な表皮を擦り続けて傷を与えると疼痛(いたみ)となり、発赤するも紅斑化しないためです。こういうことは単純そうでいて執念が要り、確固たる視点を持って自分の肌を触れ、人の肌も触れ反応をみて状況を聞き、よくよく観察しなければ決して書けません。掻かせないためには、脂腺炎優位の毛包付属器炎を丘疹化させないことと、丘疹化した痒みが塗布することで抑制し、5日前後で消退できている必要があり、掻かない努力だけでは痒みが止まることは困難といえましょう。これを何とかやってのけられるのが栴檀海斗です。従って、栴檀海斗に塗布回数は限定されません。これは、丘疹の程度が無限であるためです。栴檀海斗をご使用される場合、使用方法は使用者の感覚が大変重要になります。朝晩の塗布を基準とし、痒みを感じた場合や顔を手で触る行為の出現の都度塗布し、まるで自分の皮膚を蒸気機関車の機関室のようにコントロールするのが特徴です。コントロールにはやや慣れが要り、掻かない努力も必要になりますが、掻かない努力だけでステロイドレスというのは困難ですので、【栴檀海斗によるかゆみとしっしんコントロール法】では、ある程度の掻かない努力が実を結びます(ちゃんと結果につながりますし、圧倒的に痒みに耐える必要もなくなります。)ただし、先にも述べましたようにアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬といった全身疾患そのものの痒み全般まで改善させられるとは言えません。基礎的な治療が優先されるべきと思います。この点だけ誤解なさらないようお願いします。
当院の湿疹治療
治療薬はどの皮膚科でも同じです。ただ、この皮疹の程度に対し最短で治せる判断には差が出ます。湿疹には丘疹・紅斑・水疱の三要素があるため、湿疹を治すとは、
- 引っ搔いて増大した大型丘疹が周辺皮膚と同じ高さとなり皮疹が触れなくなり、痒みが皆無であるということ。
- 紅斑が周辺皮膚と同じ高さとなり皮疹が触れなくなり、痒みが皆無であるということ。
- 水疱が破綻し表皮剥離した後、好ましくは表皮剥離がなくなる状態にする。
ということになりますが、③は手掌(てのひら)や足蹠(あしのうら)に多く異汗性湿疹が有名で例外的に100%消失状態の維持はなかなか難しいのが実情ですが、手掌足蹠で水疱を何度繰り返しても傷跡や色素沈着になる心配がほとんどないため、見た目にあまり荒れて見えないという状態のキープを目指せるよう心がけています。①丘疹と②紅斑については、最短で治し、炎症後色素沈着や炎症後色素脱出、瘢痕形成、赤ら顔といった跡を残させないことが極めて重要になるため、皮疹の程度に対する軟膏のグレードの選択と塗布回数、塗り方について時にかなり細かく説明させていただいております。この辺りは、形成外科的視点が効き他の皮膚科とは大きく異なる点と自負しています。ただ治すのではなく、如何に早く綺麗になおせるか。これを答えとして治療並びに説明を行っているため、一般的な皮膚科の薬のグレード選択とは異なる場合がございますが、「だいたいこんなものですよ!」ではなく、当然のことながら薬効が副作用を圧倒的に上回り、副作用を引きずることが無く、何が副作用で副作用ではないのか?といったことが数多くの症例を踏まえて実践的に判っているからこその処方と解説を行っています。
例えば、手掌の水疱状の湿疹の一過性出現で痒みが強く、擦り掻いてしまうとジクジクとした浸潤紅斑になります。このゴールをだいたいで済ませるといつまでも改善できません。引っ張れば引っ張るほど治しにくくなります。水疱は表皮間だけでなく真皮からも発生し表皮と真皮が炎症を起こしています。この場合、表皮は何度でも再生が効くため、大部分が痛んだ表皮は100%最短で消去する勢いで治すためのグレードと塗布方法・回数、範囲と程度によっては内服薬を含めてご提案しています。表皮と真皮が連続して痛んだ湿疹を最短で治すとどうなるか?ズバリ「赤いペラペラツルツル肌」で治るということになります。これは副作用ではありません。湿疹を根治させ失われた表皮と簡単には再生しない真皮を再現するための段階をみているに過ぎません。表皮が再生し角質層のバリア構造がしっかり再生されるとやや黒ずんできますが、これも炎症後色素沈着ではありません。メラニンインデックスメーター(メグサメーター)を用いると、メラニン値は健常レベルであり、赤みであることが分かります。これの意味するところは、表皮が再生されるのは早くても、真皮が治るのには期間がかかりますという意味です。ここでも形成外科の創傷治癒学とその実践的経験が極めて重要となります(本や文献を読んだ程度では難しい。)真皮層を広範囲で痛めた場合、創傷治癒過程が必要となり、これは炎症を極めて軽微に引き釣りながら壊れた組織を吸収し欠損した部位をコラーゲン線維で置換する特融のシステムのことで少なくとも6か月から1年半、部位により3~5年を要する気の遠くなるようなステップです。こういう一つ一つのことが分かっていて初めてできる治療薬選択を行っていると思っていただけたら幸いです。実は表皮や真皮の再生過程においても栴檀海斗が役立ちます。なぜならば、表皮が再生する過程であっても、また、表皮が完全に再生してもそこから先何のダメージもないということは数秒すらないと思われるためです。それは、皮膚に分泌が生じるためです。手掌足蹠には毛穴は存在しませんが、分泌するとべたべたしてきます。汗だけでしたらサラサラするわけですが、ベタツクということは確かに脂溶性成分が湧出しています。汗と脂溶性成分が乳化すれば痒み因子となり得ます。栴檀海斗でバリア構造をバリアし、痒みと細胞膜障害因子をブロックしておく毎日のスキンケアが痛んだ真皮層にとても優しいのです。栴檀海斗を使用しつつ、いつもの保湿をしてみてください。お肌が違うと感じられることでしょう。尚、治療法の選択についてはあくまでも提案であり、ご決断は患者様にしていただいております。なぜならば、望まれない治療法は続かず決してうまくいかないためです。「患者様のこうしたい!」は尊重したいと思っておりますのでスバっと言っていただけたらと思います。勿論、あとから「やっぱりこうしたい!」も問題ありません。
かゆみの予防(かゆみを出さないための条件づくりの大切さ)
「快過ぎは身を亡ぼす!」
類似の表現は広く用いられていますが、お肌も快適過ぎは痒み肌荒れを招きます。
例えば寒いからといって上下重ね着し、発熱素材の下着を着て、衣類をズボンやスカートにきちんとイン。風邪やコロナが心配だからと不織布(ふしょくふ)マスクをして帽子をかぶり、マフラーと手袋も!これをやってしまうと、前述の理由から全身かゆみと肌荒れ・乾燥肌にもなります。また、分泌の多い方はニキビの悪化や湿疹アトピーの増悪にもなります。前項(5)に登場した異汗性湿疹(いかんせいしっしん)も悪化します。手荒れで綿手袋を推奨する皮膚科がほとんどですが、私は推奨していません。手は体幹の表面温度が適切であるかどうかの目安となるためです。
体幹が暑過ぎ!蒸れ過ぎ!の条件ですと、末端の手・指の血流が増加しいわゆる【あったかい手】になり発汗量が増加します。【あったかい手】は体幹の皮表温度・湿度が高過ぎるサインです。この状態でかゆみのある水疱で発症する異汗性湿疹や手の痒みを掻いて悪化させている湿疹の症例で綿手袋を日中・夜間に着用してしまうと熱に逃げ場がなくなり手掌の水疱増加、引っ掻き頻度の増加と皮疹の悪化に確実につながります。できることならば、発熱素材の着用や衣類のインを避け、昔話しの家屋のように隙間風が常時入るようにしていただくことをお勧めします。「あったかい手」の時は手袋をしない!足の裏が痒くなったら、幼児のお子様のように靴も靴下も放り投げるような感覚で患部に風を通し、皮表温度を下げていただくと良いです。屋内作業におかれましても、かゆみがあちこちに出現している時点で暑すぎる!ということになりこの条件に居続けるだけで皮疹を悪化させることにつながります。体幹四肢頚部に隙間風が入るように着衣していただくか、室温を痒くならないレベルに下げるようにされるのも効果的で、真冬であっても当院は朝一番の待合室は暖房22℃程度、診察室は17℃程度、オペ室は22℃程度で入れ、動き始めたら診察室のエアコンを切り、午後は15時過ぎると待合室のエアコンを切り、診察室は冷房22~23℃に設定し、かゆくならない温度設定にしています。